現在、僕はサラリーマン(会社員)と個人事業主を兼業しています。
兼業を2年ほど続けている中で強く感じることは、サラリーマンと個人事業主では、やる気が全然違うということです。
それは、僕がサラリーマンとしての仕事が楽しくないとか、個人事業主よりサラリーマンの優先順位が下とか、そういう訳ではありません。
僕は、今の会社は素晴らしい職場環境だと思っていますし、会社を成長させたいと常々考えています。
でも、サラリーマンとして働くかぎり、個人事業主と同じやる気はどうしても出せないと思います。
サラリーマンとは時間を売る個人事業主
はじめに、サラリーマンの地位とは、一体どのようなものでしょうか?
僕が思うに、サラリーマンとは、自分の時間を会社に月○○万円で売っている"個人事業主"のようなものです。
あくまでも、会社に雇われているだけであり、会社の持ち主ではありません。
だから、いくら会社を成長させても、自分の給与に反映されなければ、意味がありません。(もちろん、給与だけでなく、職場環境や福利厚生等も考慮する必要があります。)
なぜなら、会社は、"株主"の持ち物だからです。
小さい会社の場合は、経営者やその親族が"株主"となっているケースが多いでしょう。
もちろん、会社の持ち主(経営者やその親族)は、会社が成長すれば莫大な富を得ることができます。
実は、僕の父親も経営者です。昔、会社が急成長したときは、自身の給与水準を上げたり、経費などを使い贅沢三昧していました。(遠い昔の話ですが。)
よく経営者が「社員一人ひとり経営者目線を持て」といいますが、経営者とサラリーマンでは、会社が成長したときのメリットが全く違います。
サラリーマンは、自分の時間を会社に売っているだけに過ぎません。
だから、「自分の売ってる時間が安すぎる」と思ったなら、転職を考えても良いと思います。
サラリーマンと個人事業主の違い
サラリーマンの地位が分かったところで、サラリーマンと個人事業主の一番大きな違いは何でしょうか?
それは、仕事に対する成果が分かりにくいことです。
サラリーマンの成果とは、会社の利益ではなく、自分が手にする報酬(給与)です。
金融屋、保険屋、不動産屋など、成果報酬(歩合給制)を導入している会社は別になりますが、日本にある大多数の会社は、1年に1回程度の昇給です。
だから、どのくらい会社に貢献すれば、どのくらい給与が上がるのか、1年経過しないと分からなくなっています。
でも、個人事業主は違います。
仕事を請け負ったり、商品を売ったり、ブログで広告収入を得たり、成果はすべてリアルタイムで分かります。
そして、その成果は、すべて自分のものになり、不明瞭な部分はゼロです。
サラリーマンとは社会主義である
昔、社会主義という「平等」で「公平(平等)」な社会を目指す国家がありました。
その理念は素晴らしく、上手くいくかのように思われていましたが、まもなく、ソビエト連邦を筆頭に社会主義を体現した国家は崩壊しました。
社会主義が長続きしなかった理由には、いくつかの要因がありますが、その一つが「労働者がいくら働いたところで同じ給与しか貰えないから、仕事をあまりしなかった」ことが挙げられます。
つまり、労働意欲の低下です。
これは、多くのサラリーマンにも当てはまることだと思います。
自分が考えていた給与上昇と現実の給与上昇にギャップがあると「今年は、これだけ頑張ったのに、全く給料が上がらなかった。」と不満に思います。
その不満が解消しなければ、「頑張っても頑張らなくても同じだな。クビになからない程度に仕事をこなそう。」と考えてしまいます。
逆に、個人事業主の場合は、すべて自分の責任です。
例えば、100時間かけて1000円しか稼げなかったときでも、「自分が上手くやらなかったからだ。」と納得し、「次は、やり方を変えて頑張ってみよう」と前向きに考えることができます。
サラリーマンは楽な地位
僕は、個人事業主や経営者(会社の持ち主)の方が、間違いなくサラリーマンより、やる気が出ると思います。
しかし、個人事業主になったからこそ、「サラリーマンってどんなに楽な地位なんだろう」と常々感じます。
なぜなら、サボっていようが、ちょっと病気で休もうが、成果にかかわらず、毎月、一定のお金が口座に振り込まれるからです。
では、個人事業主、会社経営だけで生計を立てている場合は、どうでしょうか?
もし、毎月成果を出さなければ、家賃、食費、電気代、ガス代など、払えなくなり、路頭に迷う可能性があります。
よく「俺はこんなに会社に貢献しているのに、給与が少ない」と文句を言っている方がいますが、自分の能力だけで、毎月20~40万円も稼げるでしょうか?リスクをとる覚悟はあるでしょうか?
会社を維持するには、事務所、設備、免許など、膨大なお金がかかります。
多額の投資をしたのに、社会環境の変化で上手くいかないこともあります。
銀行から多額の融資をしてもらっているなら、失敗したときに、銀行から脅迫まがいの叱責をされることもあります。
会社の連帯保証人なら、会社が借金を抱えて倒産したときに、返済義務が発生します。
従業員を雇っているなら、全従業員の失敗の責任を取る必要もありますし、時には裏切られることもあります。
裸一貫で会社を設立して、上手くいけば莫大な富を得ますが、その分、リスクも大きく、失敗すれば、大きな痛手を負います。
ソフトバンクの孫正義など、一代で大企業を育て上げた経営者は、現在、華々しい生活をされているでしょうが、それだけのリスクを取ってきたのです。
そう考えると、「サラリーマンは、なんて楽なんだ」と思えてきます。