原油ブルETNで+75%突破!これから上がる?長期保有が危険な理由

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世界中で猛威を奮っている新型コロナウイルス

世界需要の激減とサウジアラビアとロシアの価格戦争と重なったこともあり、歴史的な原油安となりました。

そんな中、注目を浴びているのが、野村證券が展開する「NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油 ダブル・ブル ETN(2038)」です。

ネット上では、通称"原油ブル"と呼ばれており、出来高ランキングでも上位に位置し続けています。

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なぜ、これほどまでに原油ブルが注目を集めているのか?

理由は簡単です。

歴史的な原油安になってからの反動狙いです。

実際、2020年4月28日に最安値138円から徐々に戻していき、2020年6月8日には313円(+175円)となりました。

もし、コロナショック前の水準まで戻れば、1,500円となります。

この記事では、コロナショックがきっかけで注目を集めている原油ブルについて解説します。

原油ブルは儲かるの?

さて、この記事を読んでいる方の関心事は「原油ブルが儲かるかどうか?」でしょう。

次は、原油ブルが暴落した2020年4月28日辺りを底だと判断して購入した結果です。

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左側は特定口座、右側はNISA口座となります。 

途中で買い増ししたので単価が若干上がりましたが、

  • 特定口座(左側):177円 → 313円(+76.84%)
  • NISA口座(右側):191.19 → 313円(+61.08%)

合計33万8,415円の含み益となりました。

また、原油価格の長期的な上昇と安定的な配当金収入を期待して国際帝石(国際石油開発帝石)も購入をしました。

原油ブルをほぼ低地でつかめたこともあり、かなり儲かったことが分かったのではないでしょうか?

これから上がる?

「あなたが原油ブルで儲かったのは分かった。では、今から購入したところでこれから上がるのか?」

そのような質問には、短期なら儲かる可能性は十分にあると答えます。

原油ブルと連動しているのは、日本の原油価格のもとになる"プラッツドバイ原油"となります。

つまり、プラッツドバイ原油が上がれば、原油ブルも上がるということです。

ということでプラッツドバイ原油を見てみましょう。

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出典:みんかぶコモディティ

コロナショックの影響により原油価格が暴落する前は、2020年1月6日に終値4万1,640円を記録。

その後、数回の暴落を繰り返して、2020年4月20日に2万500円を記録。

2020年6月8日は、3万10円まで値を戻しています。

仮にコロナショック前の水準まで戻すとすれば、3万円 → 4万円(+1万円)まで上がる可能性があるということです。

原油の需要は、コロナ前の水準まで戻すには時間がかかります。

しかし、原油の供給も歴史的な原油減産合意により減っているので、完全に需要が戻らなくても原油価格が上がる可能性があります。

原油ブルは長期保有すると確実に損する

今後、原油ブルが上がる可能性は十分にあります。

しかし、原油ブルは長期保有すると確実に損します。

重要なことなのでもう一度言います。

原油ブルは長期保有すると確実に損します。

なぜなら原油ブルは減価していくからです。

何を言ってるのかは、原油ブルのロングチャートを見れば分かります。

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原油ブルが登場した2013年4月19日は、9,730円の値がついていました。

しかし、現在は300円ほどの水準で推移しています。

およそ7年2ヶ月で32分の1です。

はたして、プラッツドバイ原油は、7年2ヶ月で32分の1まで価格が下がっていったのでしょうか?見てみましょう。

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確かにアメリカのシェールガス革命や世界情勢の変化により原油価格は、2013年4月22日の6万130円から現在の3万円ほどまで下がりました。

しかし、およそ7年2ヶ月で2分の1の下落にとどまります。

原油ブルとプラッツドバイ原油が完全に連動しているのであれば、原油ブルは9,730円 → 4,865円の下落にとどまるはずです。

野村證券への信託報酬が年0.8%がかかるとは言え、あまりにも下がりすぎています。

これは一体何故でしょうか?

コンタンゴ

原油ブルが大幅に減価した原因は、コンタンゴです。

簡単に言えば、原油を保管するための管理コストが差し引かれていきます。

もう少し詳しく説明しましょう。

基本的に原油の先物価格は、先に行けばいくほど、管理コストが上乗せされるので価格が上がります。

次は、2020年6月9日のプラッツドバイ原油の価格表ですが、6月、7月、8月・・・と先へ行くほど価格が高いのが分かります。

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原油ブルは、一定期間で10月から11月などに乗り換え(ロールオーバー)するのですが、このときに原価が生じます。

具体例を出せば、

  • 2020円10月に2万8,850円で売る
  • 2020円11月に2万9,130円で買う

とした場合、280円損することになります。

これがコンタンゴの正体です。

つまり、原油ブルが1月 → 2月 → 3月・・・と乗り換え(ロールオーバー)するたびに管理コストが上乗せされることになります。

ゆえに原油ブルの長期保有は絶対に損をするのです。

原油銘柄で長期保有したいなら株式を購入しよう

今回の新型コロナウイルスの歴史的な暴落と経済再開による上昇を期待するのなら原油ブルはありです。

実際、僕自身も1ヶ月半という短期間で含み益が+75%となりました。

しかし、原油や金、銀、プラチナのような"コモディティ"は、それ自体が利益を生み出すわけではありません。

特に原油は、管理コストが高い傾向があるので長期保有はやめておくべきです。

長期保有を目的とするのであれば、企業の権利を購入する「株式」をおすすめします。

株式であれば、その企業が営業活動により利益を生み出すことから長期的にも値上がりする可能性があります。

原油銘柄で言えば、

  • 出光興算 5019
  • JXTG HD 5020
  • コスモエネルギーHD 5021
  • 国際石油開発帝石 1605

となります。

これらは、原油価格の回復により株価が上がっていくことが期待できます。

最後に

僕自身、これまで10年ほどの投資経験があります。

ここまで相場が大きく動くのは、リーマンショック、アベノミクス以来です。

世界では、新型コロナウイルスが拡大しており、原油価格も急激に暴落する可能性もあります。

しかし、記事執筆時点で歴史的な原油安であることには変わらず、今後、急激に伸びる可能性もあります。

ただ、今回紹介したように原油ETF・ETNは、管理コストによる"減価"のリスクが常に付きまとう商品となっているので「原油の動きが少なくなりそう」と感じたらさっさと売るほうがいいでしょう。